「…花の香り…?」
ブルーローズに呑まれ、鼻をくすぐる香りを嗅いだ。
深い妖艶な甘さの中に、特有の爽やかさもある。ゴーシュは香りを気に入り、珍しそうに何度も鼻をクンクンさせる。
「気にいった?ブルーローズの香り?」
「はい…。とても…」
白猫が大人しくなったのを見計らい、バブルバスにそっと身体を沈ませる。たちまち泡にまみれるゴーシュが愛らしく、ラルゴは鼻白み浴室を退室した。
「確かにここは一人の方がゆっくり出来そうだな」
「あ、先生…!」
ゴーシュは後を追い掛け腰を上げる。
「…ここにぼくを置いて行くのですか…」
「さて、どうしよっか…?ぼくの貴重なバスタイムに押しかけたのは、きみなんだけど…」
会話できる程度、バスルームのドアは薄く開かれたままだ。
耳を澄ますと隣室からするすると布の擦れる音が聞こえ、少年の頬は赤く染め上がる。ラルゴはベッドルームで服を脱ぎ捨てているらしく、少年の妄想を掻き立てた。
「せ、…先生も…?」
念のため、的な尋ね方にラルゴの笑い声が聞こえた。
「ゴーシュが一緒に入っていいって言うなら、遠慮しないで入るよ」
「は、はい…」
戸惑いながらもゴーシュは返事を返す。
「じゃぁ、遠慮なく…」
「…ぁ」
すらりと痩身を晒し訪れたラルゴに、ゴーシュは釘づけになった。
現在、教段に上がる立場とはいえ、元BEEだ。一見スレンダーでありながらも引き締まった肉体、至る所に刻まれた傷跡が少年の心を捕らえた。ゴーシュは瞬きも忘れ、肩から背中、胸、腹部に刻まれた刻印を見つめている。
「どうしたんだい、少年?」
シャワーを浴びながら、ラルゴは悪戯な眼差しを向けてくる。
「え、だって、先生の身体の傷痕が…、カッコイイっていうか…」
見惚れ、頬が一段と赤らむ。
「そんなこというのはきみくらいだけど」
ラルゴはシャワーコック片手にバスタブに足を入れた。頭から湯を掛けられ、少年は子犬のように身震いする。
「アハハ…!髪を洗ってあげようか?」
「~~~~っ…先生…っ!」
ゴーシュはずぶ濡れだ。
「自分で洗えますから…」
うらめしく見つめられ、ラルゴは水の滴る姿に思わず息を呑んだ。
「――――ゴーシュ…」
柔らかな銀糸から水滴が落ち、滑らかな頬に伝わる。
ラルゴは改めて、ゴーシュ・スエードが清らかで美しい少年だと思った。
朧なバスルームの照明にも関わらず、艶を増した少年の面ははっきりと分かる。清麗でありながらも、快楽を刻むほどになまめかしさを手玉に取った、狂おしい美しさが見え隠れしていた。
それは、甘美な肢体を残酷に凌辱してしまいたくなるような――。
雫を掬い上げ、ラルゴはゴーシュの頬にそっと指を這わした。
「――君に触れたいっていつも思っていたよ。でも君の世界を壊す気がして、ぼくらの世界を築き上げる勇気がなかった」
「勇気…?」
「ああ、そのことばかりいつも頭にあったよ…」
「え……?」
「触れてみて、初めて分かることもあるんだなって。例えば、――今夜のゴーシュは可愛すぎて帰したくないとかね……」
「~~~~なっ……!」
羞恥の極み発言に、ゴーシュの頬は赤くなる。
「…好きだよ、ゴーシュ……」
「――先生……」
囁かれ、ゴーシュは掌に頬をすりよせ、ラルゴの手首を愛おしげに軽く握った。瞼を落とすと、ブルーローズの香りとラルゴの体温が伝わり、酔わされ溶け出しそうになってゆく。
「…好き…、好きです…。ぼくは…先生以外…何もいらない…」
「シルベッドが聞いたら、大問題だよ」
「妹は別ですよ。確かに彼女はぼくの全てですが、こんな気持ちにはなりません。…いじわる言わないで下さい…」
少年の鼓動は再び高鳴り始め、身体の芯が疼き出す。
「おいで、洗って上げるから」
ラルゴの掠れた声音が浴室に響き、ゴーシュの思考をさらに甘くさせた。
バスタブの中で身体を反転され、ラルゴの長い指先で背中を撫で回される。無防備に背中を晒し、うなじに唇を這わされゴーシュはくすぐったく身をよじった。
「せ、先生…、もういいです…」
「そう?じゃぁ…ここは?」
「……あ…」
背後から胸を撫でられ先刻散々弄ばれた先端が先を求め、急速に固くなるのを感じた。
「そこ…、もう…や…」
「いや?」
尋ねられ、ゴーシュは訳が分からず首を横に振る。
「…いい?」
泡を潰すように乳首を摘まれ、室内に少年の喘ぎが木霊する。
「…あっ…や…」
滑る刺激は痩身にじわじわと広がり、触れられていない中心が快感のさざ波を捉え熱くなる。
「前も…洗わないと」
くるりと身体を反転され、腰を引かれる。
「――っ…!」
下肢にラルゴの熱を感じゴーシュの心臓は跳ね上がった。
「どうかした?」
「あ、あの…」
「ぼくもゴーシュに感じてるんだよ…。たまらないくらいね」
微妙な関係に不安を抱いていた時間が嘘のようだった。ラルゴも自分を求めてる、と感じただけで這わされる指先に、より身体が敏感になってゆくのがわかる。
「っんん…」
唇を塞がれながら、脚の付け根を撫でられゴーシュの頭は霞み出す。
ゆるゆるとラルゴの首に腕を伸ばし、無意識に腰を擦り寄せる。首筋にしがみつき熱っぽく濡れる吐息が零れ、ラルゴは合図とばかりに腰を抱き、自身の腹部に擦りつけた。
「あぁ――……」
あからさまな嬌声に、ラルゴの口元が緩んだ。
「気持ちいい……?」
「あっ…ぁ…ぅ」
か細い腰をグラインドされ、淫らに頭を掲げた中心をやわやわと擦られるたび、腰から下肢にかけて甘い痺れが流れる。
「…や、…ぁ…あっ」
中心はたちまち膨れ上がりさらに熱を増した。
「はぁ…先…生…っ」
快楽のもがきに耐えられず、ゴーシュはラルゴの肩に噛みついた。
「…んん…っ」
ラルゴはやさしく、ゴーシュを抱きしめる。
「ゴーシュ、二年間寂しい思いをさせたね…。もっと早く…こうするべきだった…」
「…そ、そんなこと…」
「ぼくにこんなに感じるなんて…、知らない方が良かったのかもしれないけど…」
「あ、ぁあ――――……!」
かすかなぬめりのある湯の中で、硬直する中心を握られ一気に擦られる。一瞬、視界が白み達し掛けたが、ラルゴは意地悪く堰き止めた。
「――……熱い…せんせ…」
少年の胸は激しく上下していた。短く息を零す可憐な唇に誘われ、ラルゴはそれを容赦なく塞いだ。
「…ん…ぅ…んん……」
ゴーシュは酸欠になりそうだ。
舌は荒々しさを増し咥内を嬲りながら、中心を擦り上げられる。
「――――っ…!」
「ゴーシュから溢れてきてる…」
「…え…?――あ…あぁ……」
先端を執拗に刺激され、思考が今にも崩れそうだ。脳内へと突き抜ける電流に、全身が打ち震えるほど心地よさを感じてしまう。
「あっ…あっ、あっ……」
もはや少年は、身も心もラルゴ・ロイドに支配されていた。敏感な箇所を集中的に攻められ強烈な痺れが走り、瞼の裏にフラッシュがたかれる。
「…はぁ…やぁぁ……あぁ…――っ……―――せ、せん…せぇっ……」
悲鳴に近い声を漏らし、ゴーシュは喘ぎラルゴに縋った。
直前で幾度となく根元を抑えられ、達しそうで達せないもどかしさに気が狂いそうになってくる。
「逆上せそうだね」
「……や…いや…、もうやだ…」
弱々しく瞼を開き聡明な瞳で、ゴーシュは訴える。
硝子のような澄みきった瞳の少年が、悦楽に沈む瞬間をラルゴは待っていた。妖しく見つめ返されるラルゴの視線に、少年は懺悔し瞳を潤ませる。
「――先生…」
「キスして、ゴーシュ…」
命ぜられ、少年のか細い腕は首に回される。そっと唇を重ねたとたんにゴーシュは力が抜け、ラルゴの肩に項垂れた。
「よくできたね…」
ラルゴは過剰に駆り立てられる欲望を隠し、少年を促した。
膝立ちも出来ないほど、ゴーシュの痩身は緩み切っている。腰を支えられ、されるがままに身をゆだね、逃れを請い被りを振るだけだ。
「……先生…、……先…生…、もう………」
「意地悪して…ごめん…。あまりに可愛いから…つい、ね。楽にしてあげるよ」
速度を増し、そこに開放が近づく。
「あ…あぁ…、――――……っ」
快感に追い立てられゴーシュの背中が仰け反る。
「ひ…っぁ…あっ…あっ…ああぁ……!」
刹那、めくるめくような快楽の波に全身が包まれ、弄ぶ指先から少年は解放された。
息つく間もなく、痙攣を起こしたばかりの下肢にラルゴの指先が這わされる。
朦朧とした意識で、ゴーシュは瞼を開いた。
「お湯の中だから、あまり痛くないはず…」
「……はぁ…はぁ……、せん…せ…」
「――繋がるよ……」
耳元でリアルに囁かれ、背筋がぞくっと震える。
焦がれた相手の前で吐精した陶酔と羞恥に、浸る間はなかった。双丘の挟間を撫でられ、ゴーシュの腰が竦み上がる。
「…ぁ…待って…、ください…」
這わされる指先の意図を模索する。
少年には更なる心の準備が必要だった。知識が到底追いつかない身体の変化に、戸惑いが隠せない。
「…っま、まだ…」
「どれくらい?」
意地悪くラルゴの指が後ろを探る。
「…ぁ…っ」
信じられないところに触れられゴーシュの身体は跳ね上がり、バスタブからお湯が零れた。
幸い二人が入浴するには若干余裕がある浴槽だったが、ゴーシュには檻のようで、けだるくなった身体の逃げ道を探していた。
縁に助けを求める華奢な手首を取り、ラルゴはキスをする。此処が懐柔した少年と愛し合うには、十分過ぎる広さだと諭すために。
「不思議だな。追い掛けられていた筈だったのに、やっと捕まえた気分だよ」
「…ぼくを?」
「ああ…」
「残念ですが、今日はぼくが…先生を捕まえた日ですよ…」
「気が強いけど、――どうする少年?」
「…え…?」
「ぼくはゴーシュが欲しい」
「……」
怯えを示した少年の痩身をやわらかく包み、ラルゴは額を合わせ尋ねる。ゴーシュは瞼を伏せ小さく頷いたが、かすかに唇が震えている。
「……先生…」
「ん…?」
「先生が…好きだから…」
ゴーシュはおずおずとラルゴの肩に刻まれた傷跡にキスをした。
少年も興奮が治まらないのは一緒だ。落とした唇を開き、チロチロと赤い舌で傷跡を愛撫すると、中心が再び発情の兆しを見せ始める。
夢中で舐めた肩から首筋、ラルゴの頬に触れ、そして、潤んだ甘い眼差しを向けた。
「……ぼくも、せ、…先生を…」
「うん…」
背筋から腰にするりと指を撫でおろされ、ゴーシュは声を上げた。とろとろの瞳でラルゴを見つめ、蕾に指が挿し込まれた瞬間唇を求めた。
「…ぅ…んっ…ん…」
卑猥な湿った音が浴室に響く。
口では舌を絡めながらも、後ろは体内を探られ、淫らさと羞恥に身体は蕩けだす。
「…ふ…っ…ぁ」
深々と奥まで指を挿し込まれ、思わずラルゴの背に爪を立てた。
「痛くない?」
「…へ、平気みたいです…」
痛みがないわけではない。内臓が直に触れられる感覚とも思え、答えるすべがない。
入口から中枢まで何度か抜き挿しされると、ポイントが開花し疼き始めた。
「――っ……!?」
最奥の過敏なスポットを探られ、指先がそこにあたる度、下腹がひくつき跳ね上がる。
「…はぁ…、はぁ…、や、やだ…」
「やめる…?」
ゴーシュは唇を結び、首を横に振った。
「………ぁ…、はぁ……ん…」
底知れぬ感覚が知らず知らずに、ラルゴの指を追い始めている。
「身体がやわらかいからね、ゴーシュは…。慣れるのも早いよ」
ラルゴの口の端は緩んでいる。
「あ、…あ…、やっ…、……中が…変…」
「感じる…?」
「………や…ぁっ!…」
指の関節を使い最も敏感な箇所を弄られ、的確に押しあてられた。
「あっあっ…やぁぁ…」
そこを抉り激しく掻き回されると悲鳴が漏れる。
前で感じた刺激とは別ものの、内壁が波打つ感覚に吐精したての前も過剰に反応してしまう。
「ここ…?」
「……ぁ…う…」
指を二本に増やされ、過敏なところを掻かれるとさらに感度が増した。
「あっ…ぁ――……」
「…リラックスしていいんだよ。もう少し力をぬいて…」
「……身体と頭が……おかしく…なりそうです……。先…生も…ですか…」
「うん、――もっとゴーシュが知りたいよ。だから言われた通りにしてごらん…」
短く息をしながら、ゴーシュは試してみた。
「眼を閉じて…」
ふぅと深く息を吐き、ラルゴにしがみつく。
「――先生……」
身体をゆるめたことで、少し楽になった。
「大丈夫…?」
「……んっ……」
ラルゴは指の動きを止めなかった。
掻かれるたび内壁は、貪欲に刺激を欲している気がした。
「ここが弱いのか…」
「…っ…ぁっ…あっ、あぁ…」
嬌声が室内に反響し、少年を翻弄する。どうしようもないほど淫惑になった身体で、指をきつく締めつけてしまう。
「…先生…だめ……っ…」
「これだけじゃ、ぼくが足りない…?」
「…ちが…っ…」
ラルゴは先刻と同様行為の甘さを教え、焦らしたゴーシュがねだるのを待っていた。
「もう…、や…指…」
「どうして欲しい…?」
「…………」
とても恥ずかしく、口には出来ない言葉が浮かび上がる。
ポイントをやわやわと焦らされ探られると、深く強烈な刺激が欲しくなる。
「……っ」
「こんなきみを見られるなんてね…」
被りを振り反論したいが、ゴーシュに余裕はなくなっている。
「さて…と…」
「――ぁ…あぁ…」
指先は入口まで引き抜かれ、疼くところから無情に外された。
「聴かせてくれるかな……」
「………はぁ…はぁっ…」
絡みつく肉壁から外れた指を、痩身が追ったのが判る。
途端甘露に痺れ、うねる内部をゴーシュは持て余す。
どうしていいか解らなかった。
ただ、最奥がたまらなく熱い。
「…先…生……」
少年は瞳で懇願するしかなかった。
「…腰が浮くからぼくの首につかまって、脚を開いてごらん」
「…は、…はい…」
「待ってて…」
ラルゴはゴーシュの腰を抱えたまま、バスタブの栓を抜く。利点を利用し押し入り、ゴーシュの身体の衝撃を緩めてやる。
湯が落ちる前に浮力に浮き上がる腰を抑え、ラルゴはゆっくりと挿入し始めた。
「…んっ…ああっ…」
先端が徐々に深く入ってくる。愛おしげに時間をかけ挿入されてはいるが、後孔は反発を見せ熱を容易く受け入れなかった。
「――あぁ…、いっ…!」
ラルゴの熱を感じながらも、質量のキツさに眉を歪ませる。
バスタブのお湯はみるみる泡を残し流れ、身体が重力を捉えた途端、引き裂かれる痛みが走った。
「…い…痛い……、…痛いです、…っ先…生…」
「力を抜いて…、さっきみたいに息を吐いて…」
絶え絶えになる呼吸は治まりそうもない。
瞼を閉じ、投げ出したいほどの痛みに次々に弱音が湧きあがってくる。耐え切れず、涙を零すゴーシュを察し、ラルゴは唇を塞いだ。
「…ん…っ…んん…」
咥内をたっぷり味わい、首筋から鎖骨、乳首へと唇は渡り、過敏なそこを舐めあげられる。
「…はぁ…あ…ぁ…あっ……」
尖り切った乳首は触れられるのを焦がれ、痛いほど感度が増していた。半身がびくびくと痙攣し、背中をしならせてしまう。
仰け反り、開かれる快感、次第に蹂躙されてゆく内部に、思考が事態に追いつかない。
「…せん…せ……」
「…気持ちいい…?」
咥え込まれる感覚にラルゴは息を詰め、快楽を与えながら肉壁を緩めてくる。
「…あ…ぁ…」
「上手に呑み込んでるよ…」
「……――っう……」
滑りを借り、隙間なく下腹は結合した。体重の重みで深々と突き刺さり、少しでも腰を動かされると圧迫感と息苦しさで逃げ出したくなったが、
「…本当に…痛いだけ…?」
「――――っ!」
か細い腰を持ち上げ、熱杭を打ち込むように力任せに引き寄せると、甘く痺れる狭窄が脳髄まで突き抜けた。
「あっ…やぁ―――……っ」
焦らした効果は覿面で、快感を拾い少年の肢体はたちまち邪淫に呑まれてゆく。
刺激は最奥まで到達し、緩く腰を上下されるだけで前から蜜が溢れ出す。
「んっ…んっ…ふ、深い。…や、嫌…、裂けそ…う……」
少年の肢体は、貫かれる快楽を知ってしまった。
そしてラルゴは自身の罪を――。
「――ゴーシュ…」
肉欲が穢れとは、当事者、すなわち征服者の側にあると今更ながらラルゴは思った。
水晶で創られた少年を犯した罰は、回避出来ないだろうとも――。
「……先生…、先…生…、好きです…っ」
激しく被りを振り、昂りを、ラルゴ・ロイドを、少年は無我夢中で追った。
「溶けそうだ……」
「……あっ…あっ…」
次第に腰を絡め、熟れ勃った前も腹部に擦りつけられる。前後を刺激され、我を失ってゆく。最奥に熱く押し迫る、充溢感がたまらない。
「…ロイド…先生――……」
「……っ…」
瞼を抉じ開け、熱い吐息を零すラルゴを覗く。
薄く開いた瞼は、彼も同じだ。
瞳を交わし自然に唇を重ね、皮膚の境界がもどかしくなるほどきつく抱き合う。
とろとろになった先端は糸を引き、泡の残したラルゴの下腹に今にも溢れ出そうだ。
「…はぁ…、もう…あっ…ぁ…」
ゴーシュの声色に誘われ、ラルゴは硬度を増しリズムを速めた。
五感で感じる蜜浴は追い求めた心の集積。
だが、烙印は通過点に過ぎず、現実は間近に迫っている。
たとえ、BEEになるまでの束の間だとしても、ここが彼らの聖なる砦。
それまでの時間は、彼らのために存在する。
「あっ…あっ…ぁあっ…あぁ…ぅんっ…」
奥へ激しく突き上げられ、鮮烈な快感がゴーシュを昇らせてゆく。
「…あぁ――…っ…あっ…あっ――――…!」
奥深く咥え込んだラルゴをいざない、食い締め、ゴーシュは高処へ達した。